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足場倒壊・事故のニュース

足場の倒壊や事故などのネットニュースをまとめています

人口減少は業界改革の“黒船”になりえるか!?

筆者は最近の講演会で次のように話している。「人材業界の直近の課題は、改正派遣法案成立後の事業のあり方であるのは当然としても、それ以上に人口減少が業界にもたらす負の影響は深刻の度を深めている。それをどう克服するかが大きな課題だ」と。派遣法施行30年目を迎えた業界に押し寄せる波は半端でない。問答形式で書く。


Q 2月から3月にかけて東京、名古屋、大阪の3会場で講演されました。どんなことを話されましたか?

筆者 剛速球をいくつも投げました(笑)。質問に答える前に今回の講演会の開催の趣旨をご紹介します。主催者は日本M&Aセンターです。業界M&Aの現状を紹介し受講者の方々にアンケート調査を実施しています。私どもオピニオン社は同社の主旨に賛同し、そのしるしとして私が第1部の講演を担当しました。タイトルは「大転換期を迎えた人材派遣業界の行方」です。3会場で約270人の派遣元関係者が受講されました。この時期、ずいぶん集まったと思います。


改正法案よりも人口減少が最大の課題


さて、ご質問の「どんなことを話したか?」について説明します。論点は次の3つです。

1つは、現在国会で論議されている改正労働者派遣法案の審議の行方と成立後について、そのための準備が業界として遅々として進んでいない現状に多少の警鐘を鳴らしました。

2つは、業界として法令改正もそうですが、直面する最大の課題は長期化する人口減少であり、それをどのように業界として克服するかを話しました。

3つは、人口減少に対して事業の態様というべきか事業の組み立ての合理化を進めなくてはいけない、と話しました。。

2と3について時間をかけました。

Q それらの中身を少し詳しくお願いします。

筆者 要するに、人口減少は派遣で働いてくれる人たちの減少につながっています。それはすでに始まっているのです。今のスタッフ不足の原因は景気上昇によるものだけではありません。
スタッフ登録者が減少していくと、語弊はありますが、派遣元・紹介元にとって、“商材の棚揃え”ができません。これでは事業が成立しないのです。法令の改正についてどうこう言う以前の構造的な問題であり、それについての業界の危機感を感じません。
最近、総務省が公表した各自治体の転出と転入調査による人口動態を見ると、転入が転出を上回っているのは東京圏くらいです。大阪圏も名古屋圏も他の地方都市圏も軒並み減少しています(仙台圏は増加)。その傾向は今後も続くと予想され、特に地方都市圏の人口減少は人材ビジネスにとって赤信号が点滅しているのです。事業は向こう3年、5年の中期的展望を描いて着手するものですが、極端を言うと、地方の派遣、紹介を含めた人材ビジネスの将来はほぼ壊滅的な打撃を受ける恐れがあるのです。
大手の人材ビジネス会社ですらその影響は免れません、今後5年以内に地方の営業所の統廃合はもっと進む可能性があります。
2月1日現在の許可事業所数は約1万9千7百余です。予想するに、3月以降8月までの半年間で2万5千事業所前後に増えると思われます。特定派遣の廃止に伴い新規の許可申請が増えているからです。
講演会ではそのような現状を踏まえて、次のように述べました。「これらの許可事業所数は、今後の人口減少を考えると多すぎます。概算ですが半分以下にならないと市場での帳尻が合いません」と述べました。


解決策は外国人活用の拡大と業界業務合理化


Q 打開策をお聴きします。

筆者 1つは、人口減少なのだから外国人に依存するしかないという点です。2つは、募集と登録態勢の抜本的な見直しと改革です。それは業界を巻き込んだ合理化です。順を追って自説を紹介します。
1つ目の外国人依存については、専門的な知識と経験を必要とする職種での受け入れは認められています。また、90年代初めに制度化された技能実習生も可能です。ポジティブリスト方式で規制していますが時代の変化に準じて拡大傾向にあります。
今国会でも介護実習生が追加指定されましたが、国内ユーザーはもとより実習生候補を送り出す側のASEAN各国でも関心が高まっています。
その背景には日本の人口減少が原因となっているのです。大げさに言うと人手不足で日本のGDPが押し下げられるとなれば由々しいことです。ですから、今後も法令の見直しが続くでしょう。「日本人でなければ駄目だ」などと言っていられないのですね。外国人スタッフをどのように育成して戦力化するかが人材業界の課題となるでしょう

Q 2つ目の業界全体の合理化とは?

筆者 登録態勢の見直しと同業他社間の共同化です。私事で恐縮ですが、筆者の次女もかつて派遣登録をした経験があります。3社登録したそうです。その体験をヒアリングしました。その結果、合計で7時間も手続きに時間を費やしたそうです。それでどこの派遣会社も同じような手続きで、そのつど、同じ業務歴を書かされ、同じようなスキルチェックを受けなくてはいけない、時間的な無駄を感じたというのです。
登録者は派遣元企業によらず、仕事情報を検索して登録先を決めるわけで、判で押したような登録手続きは時代の間尺に合いません。登録者の立場で今の登録体制を見直し、それを同業他社との合意によって合理化し、その輪を広げていくことです。
それを推し進めれば、“スタッフは共有、セールスは競争”という方式につながるのです。そして、合理化で生まれた余裕時間でもっと本来の面談をすべきです。
私は、そのための具体案をすでに考案しています。機会を改めて提案したいと思います

人口減少は業界改革の“黒船”になりえるか!?|論説・三浦和夫 主筆|月刊人材ビジネス